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「ブルーノーズ」

18年間無敗を誇る帆船

カナダを象徴するものと言えばカエデ、ビーバー、トナカイ、アビ(平家鳥とも呼ばれる鳥の一種)、白熊。順に一セント、五セント、二十五セント、一ドル、二ドルの硬貨のデザインとして使われている。

大自然を最大の魅力とするカナダにふさわしいこれらの自然の創造物に混ざって、唯一十セント硬貨には人工建造物が描かれている。ノバスコシアの人々が世界に誇る有名な帆船、ブルーノーズである。

さまざまな分野において競争が激しいカナダとアメリカは、帆船レースにおいてもよきライバル同士であった。そんな中一九二〇年に行われた第一回国際フィッシャーマンズレースでアメリカの帆船が優勝。ショックを受けたカナダは、次回からのレースでアメリカに勝つことができる船の設計という大きな任務をハリファクスの帆船設計士に託した。

こうして造られたブルーノーズは、翌年にノバスコシア州ルーネンバーグで進水。一夏タラ漁に使われた後、同年十月の第二回レースで見事に優勝を果たし、以降、三八年まで十八年間にわたって、出場したすべての帆船競争に勝利した。

この不敗という栄誉はいまでも地元の漁師はもとより、カナダ人すべての心のよりどころとなっている。

ブルーノーズ(青い鼻)という名前の由来にはこんな一説がある。当時、漁師は青い手袋を漁に用いており、北大西洋の寒さの中で漁をするうち、鼻をこするため、手袋の色が鼻にうつって皆青い鼻をしていたのだ。

さて、このように一時は生きる伝説とまで言われたブルーノーズだが、第二次世界対戦中に鋼鉄のトロール船が主流となると、漁船としての帆船はもはや大西洋では不要とみなされるようになった。結局、船は四二年に貨物船として売られ、四六年にハイチ沖で沈没するに至る。

六三年にはオリジナルの設計図をもとに、全く同じ姿をしたブルーノーズ?世が作られた。?世の名を汚すことがないよう、?世はレースにこそ参加はしないが、ノバスコシアを本拠地として世界中のさまざまな港で観光客や帆船愛好者向けのクルーズなどを行っている。?世同様にカナダの人々に愛されているブルーノーズ?世はいまも、ノバスコシアの「観光大志」として世界を駆け巡っている。

End

じゅとう・みち 高松市出身。旧姓森岡。2001年に夫の実家のあるカナダ・ノバスコシア州ハリファクス市へ移住。現在同市内の語学留学学校に勤務。

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