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Peggy's Cove

「小さな漁村の大きな灯台」

岩場にそびえ旅人魅了

カナダ最大の観光名所は、もちろんナイアガラの滝。毎年、多くの日本人観光客も訪れている。しかし、カナダ第二の観光スポットとなると意外と日本では知られていない。ハリファクスから車で三十分ほどの場所にある小さな漁村ペギースコーブだ。

ペギースコーブの人口はわずか五十人あまり。近海で船が難破した際に漁師によって救助された唯一の生存者、少女ペギーにちなんでペギースコーブ(ペギーの入り江)と名づけられた。

村の歴史はノバスコシア州政府により、補助金を与えられたドイツ系の六家庭が、この入り江に定住した一八一一年にさかのぼる。以来、主にロブスター漁で栄えてきたが、一九八〇年代には日本人の漁師チームの指導の下、マグロの栽培漁業が始まった。現在も多量のマグロが日本に輸出されている。

急勾配の屋根を持つ民家、風雨にさらされた小屋、木造の船着場、そこに停留する色とりどりの船など、カナダ東海岸の漁村を代表するこの風景は、寂しげであるが同時に心を休ませてくれる。しかし、観光客を魅了するのは村の風景だけではない。

約一万年前の最終氷期に厚さ二・三キロにも及ぶ氷河に覆われていたこの地域では、地球の温暖化が始まり、氷河が溶け始めると同時に、エリアの植物と表土が氷河によって洗い流された。その結果、岬一体が剥き出しの花崗岩となっている。

更にその岩盤には、氷河に削られた引っ掻き傷のような深い傷跡と同時期、氷河によって運ばれてきた多くの巨礫が残る。その岩棚を歩いて辿り着く灯台はカナダで唯一の灯台郵便局としても有名であり、ここで投函したはがきには灯台の形をした特製の消印を押してくれる。

時の流れの止まったような漁村とは対照に、振り返ると目に入るのは時間とともに表情を変える美しい大西洋。水平線上に広がる青い空。海岸線に沿って続く不思議な花崗岩の岩場と、その上にゴロゴロと転がる巨大な石。岬の突端にそびえたつ赤と白のかわいい灯台・・・。

この風景は一九二一年にW.R.マックアスキルが「静かな入り江」と題した写真を撮って以来有名になり、世界で最も多く絵に書かれた場所でもあるという。ナイアガラの滝まで足を運ぶ方には、ぜひもう一歩足を伸ばして鑑賞してもらいたい風景だ。

End

じゅとう・みち 高松市出身。旧姓森岡。2001年に夫の実家のあるカナダ・ノバスコシア州ハリファクス市へ移住。現在同市内の語学留学学校に勤務。

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